最近、「配偶者控除の上限が130万円or 150万円になる」というニュースがありました。
年収103万以上稼いでしまうと、家計に響くため、扶養の範囲内で勤務調整をされる方が多いのが現状です。「配偶者控除」は、パートの主婦などの就労時間を抑制していると指摘されていますので、今回、配偶者控除の上限が改正されることで、働き方も変わってくるのではないでしょうか。
「配偶者控除」とは何?という人にために、まずは「配偶者控除」についておさらいしておきましょう。
働く人は所得税や住民税を納める義務がありますが、これらの税金は、1月から12月までの1年間の収入を元に計算されています。この計算は1人単位で行われます。
そして、年間の医療費や、扶養家族の人数などに応じて税金が安くなる仕組みがあります。その中で、扶養している配偶者がいる場合は、税金が安くなるというのが「配偶者控除」です。(妻の年収が103万円以下の場合は、夫の所得から38万円が控除される。)
パートタイムで働く妻は、収入が限度(103万円)を超えないように、意図的に働く時間を抑える傾向にあり、「103万円の壁」と呼ばれています。
現在、103万円の壁を気にして、年収を調整しながら働いている方が多いかと思いますが、中には、もう少し稼ぎたいということで130万円以下になるように調整して働く人もいるかと思います。なぜ130万円なのかというと、ここにも税金の壁があるからです。
それは、社会保険料を支払うライン「130万円の壁」です。
年収130万円を超えてしまうと、夫の扶養から外れ、自身の勤め先の会社の社会保険に加入しなくてはいけません。
また、最近はこれに加えて、新たに106万円の壁ができました。(2016年10月~)
下記の条件を満たす場合も、夫の扶養から外れ、社会保険に加入しなければならなくなったのです。
①週20時間以上労働
②年収106万円以上
③勤務期間1年以上
④501人以上の従業員のいる企業
この基準を全て満たす場合は、「130万円の壁」ではなく、新たに「106万円の壁」のほうに悩まされているのではないでしょうか。
妻のパートの収入の上限を、今の103万円から150万円や130万円に引き上げることで、女性の社会進出、就労拡大を後押しする狙いがあるかと思います。
しかし国は、全体の税収が落ち込むことから、国の税収を減らさないために、夫側に、新たな年収制限を設ける考えもあるようです。
上限130万円案→配偶者控除を受けられる年収の上限を1320万円
上限150万円案→配偶者控除を受けられる年収の上限を1120万円
上限を130万円に引き上げる場合には、税収が700億円程度減り、夫の年収が1320万円を超えるおよそ60万世帯の増税が必要になるとしています。
上限を150万円に引き上げる場合には、国と地方合わせて1500億円程度、全体の税収が減る見込みで、財務省は夫の年収が1120万円を超えるおよそ100万世帯は、税の軽減対象から外し、増税が必要になると試算しているそうです。
現時点(2016年11月25日時点)で上限が130万円になるのか、150万円になるのか、決まっていませんが、上限が変わった場合、働き方がどうなるのか見てみましょう。
時給850円
1日5時間、月20日のパート勤務(例: 10時~16時勤務 ※昼休憩1時間)
⇒年収102万円(住民税の負担あり)
時給850円
1日6時間、月20日のパート勤務(例: 10時~17時勤務 ※昼休憩1時間)
⇒年収122万4000円(住民税+所得税の負担あり)
時給850円
1日7時間、月20日のパート勤務(例: 10時~18時勤務 ※昼休憩1時間)
⇒年収142万8000円(住民税+所得税+社会保険料の負担あり)
配偶者控除の上限が130万円で130万円まで働いた場合は、税金の負担はそれほどないですが、上限150万円で150万円まで働いた場合は、社会保険料の「130万円の壁」を超えてしまうため、社会保険料を支払う必要が出てきます。
年収150万円くらいの場合は、社会保険料は、年間で27万円ほど支払う必要あり、年収130万円の場合と手取りが同じくらいになってしまう可能性があります。
2017年の「配偶者控除」変更、2016年10月に新たに作られた「106万円の壁」などによって、今後、女性の働き方が変わりそうです。
これまで、配偶者控除を意識して、年収103円万以下に抑えて働いていた方は、上限が引き上げられることで、働き方が変わるかもしれません。
ただ、現在、社会保険料を支払うライン「130万円の壁」があるので、多くの方は、配偶者控除の上限が150万円になっても、この「130万円の壁」を意識して調整される方が多くなるのではないでしょうか。
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