前回は、タイ国で得た個人所得税についてご説明しました。
それでは、法人所得税の場合はどうなるのか、気になるところですね。
タイ国の法人所得税について、計算方法や確定申告などの手続き、日タイ租税条約についてご説明します。
タイ国の租税は、国税と地方税に分けられます。
どの税金が何に当たるのか、確認しておきましょう。
個人所得税・法人所得税・付加価値税・特定事業税・印紙税・物品税・関税など
これらのうち、個人所得税・法人所得税・付加価値税・特定事業税・印紙税はタイ国歳入法で規定されています。
また、物品税は物品税法で、関税は関税法で規定されています。
土地家屋税・地方開発税・看板税など
タイ国歳入法で規定されている法人所得税の税率は、原則として20%の均一税率が課されます。
基金や教会に関しては、事業収入には2%、その他の収入には10%が課税されます。
法人所得税の納税義務者は、タイ国内で事業を営む者はもちろん、タイ国・外国の法令に基づいて設立された法人、登録パートナーシップです。
課税対象期間は、原則として事業年度の12ヶ月ですが、歳入局に申請することで、事業年度やその末日の変更をすることができます。
企業は、事業年度の中間期末日から2か月以内に、中間納税申告書(Por Ngor Dor 51)を提出する必要があります。
ただし、事業年度が12ヶ月に満たない場合には、申告しなくても問題ありません。
確定申告に関しては、事業年度の末日から150日以内に、納税申告書(Por Ngor Dor 50)を提出・納税する必要があります。
納税の際には、会計監査人に作成してもらった監査済み財務諸表の添付が必要です。
タイ国の法人が、他のタイ国の法人や外国法人に対して、一定の所得を支払う場合には、源泉徴収を行い税務局への申告・納付が必要です。
源泉徴収税の納付期限は、所得の支払いが行われた月の翌月7日までと成っています。
源泉徴収税の税率は、以下のようになっていますが、タイ国と租税条約を結んでいる日本の居住者への支払いは、税率免除、または軽減となるものもあります。
配当 | 10% |
株式売却利益 | 15% |
利子 | 15% |
ロイヤルティ | 15% |
サービス料 | 15% |
専門的サービス料 | 15% |
賃貸収入 | 15% |
タイ国内の法人に関しても、支払う一定所得には下記のように源泉徴収が課されます。
借入金の利子 | 1% |
広告料金 | 2% |
ロイヤルティ | 3% |
コミッション | 3% |
請負業務の所得 | 3% |
賃貸料 | 5% |
配当 | 10% |
日タイ租税条約でも、2国間で税率について定められていますが、タイ国内ではこの税率が適用されます。
それでは、日タイ租税条約について確認しておきましょう。
日タイ租税条約とは、2国間の課税する権利や税率を調整するために、国家間で結ぶ条約のことです。
日本とタイでの二重課税や、脱税の防止などを目的として結ばれました。
1963年に結ばれ、1990年に改訂したこの条約は、国内法を優先するようになっています。
タイ国では、法人所得税、個人所得税、石油所得税が対象です。
源泉徴収税制度についても、上記した税率表に基づいて行われます。
法人所得税の課税所得は、以下の式で計算できます。
課税所得 = 利益 – 費用 ± 申告調整項目 – 繰越欠損金
その課税所得から、納付すべき法人所得税額が計算できます。
法人所得税額 =(課税所得 × 法人所得税率)– 中間納付税額 – 源泉徴収税額 – 税額控除額
法人所得税申告において、減価償却費、私的費用・交際費・寄付金、引当金の繰入額、貸倒損失、受取配当金などの調整項目があります。
ここでは深く触れないため、詳しく知りたいなど、必要であればご相談ください。
タイ国の法人所得税について、計算方法や税率、日タイ租税条約についてご説明しました。
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