国税庁の統計情報を見てみると、決算期別の申告法人数は3月が約20%で、9月と12月は約10%となっています。よく、決算は3月に集中しているといいますが、なぜこの時期の決算が多いのでしょうか。
決算業務では、決算書を作成して、それに基づいて法人税や消費税などの税計算を行います。そして、申告・納税を行い、監査役などがそれらの決算書を確認して株式総会に提出します。
この際に、来年度の予算案の作成や、経営の方針決めなどを行っていくことになります。
改正された税法は、4月1日から適用されることが多くあります。期中に税法改正が適用となれば、税務や会計処理の方法を変更しなければなりません。その作業の効率化を考えて、3月決算にしていると考えられます。
日本の教育機関の多くは、4月入学3月卒業となっています。企業が人材を採用する際には、多くの新卒採用が4月入社であり、そのために人事制度も4月-翌3月の設計となっていることがほとんどです。人件費の決算なども考えると、3月決算の方が都合が良いというところではないでしょうか。
また、国や地方公共団体の予算編成も4月-翌3月であり、3月が決算期です。決算に向けて会計予算を消化するため、この時期は発注が多くなることが見込まれます。この取引先の企業の発注・決算にあわせて3月決算としている企業も多くあります。
商法が改正されたことで最近ではあまり聞きませんが、株主総会で会社の株式を保有している権利を濫用し、株式総会を荒らす「総会屋」が存在していました。大企業は、他の会社と決算月や株式総会の開催日を合わせて、株式総会に総会屋が出席できないように、リスク分散をしていました。その名残として、今でも3月決算を採用している企業もあります。
先述した通り、3月決算の法人は多くあります。正確に行ってもらったり、時間をとってアドバイスをもらったりなどのために、監査法人や税理士にとっての繁忙期とかぶらないようにしている企業もあります。
社内では、4月に人事異動や新卒入社があります。3月は、その前の準備で社内外ともに忙しくなることが見込まれます。そのような社内外業務のピークを避けるために、9月決算としている企業も多くあります。
事業年度を、暦通りの1~12月としている企業も多くあります。個人事業としての事業年度が1~12月のため、そのまま法人でも事業年度として使用し、決算も同じようにしていると考えられます。
中国の法令では12月決算が定められていたり、欧米企業では12月決算が多かったりなどにより、グローバル化のために12月決算としていることもあります。中には、3月決算から12月決算に移行している大企業も最近は増えています。
また、国際会計基準では、親会社と子会社の決算期の統一を求められます。決算期が異なることで、計算に影響が出ることも考えられるため、親会社が外資系企業などの企業では12月決算を採用しています。
決算期を変更することは、実は簡単にできます。登記をする必要もなく、定款を一部変更するだけで済みます。
会社の繁忙期と決算業務が重なっているなどで、現在の決算期に特段メリットを見いだせない場合は、ぜひ一度ご相談ください。
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