我が国の税制では、所得税や法人税には青色申告という制度があります。大半の方が青色申告を選択していますので、青色申告が原則的な申告と思っている人がいるかもしれません。私もこの業界に入る前はそう思っていました。実際には白色申告という方が原則的な申告で、青色申告は様々な税の優遇が受けられる例外的制度となっております。
青色申告制度とは、帳簿書類を備えつけ、取引を記録し、保存をする義務を負う代わりに、税制上の優遇措置を得られる制度です。ただし、税務署に届け出れば自動的に得られるものではなくて、所轄税務署長の承認が必要になります。
日本の税金の多くは納税者の自主的な申告により行われます。これを申告納税制度といいまして所得税や法人税もこれにあたります。終戦直後に申告納税制度が採用されましたが、当時は紙が貴重だったこともあり帳簿書類を完備した事業者は少なかったといわれ、過少申告や無申告が続出したそうです。申告納税制度は納税者が自主的に申告する制度ですが、自主的に申告するためには納税者自身で日頃から帳簿を備えつけ、記帳し、保存していなければいけません。そのため、国は帳簿書類の完備を促すために、帳簿書類の完備を義務とする代わりに税制上の優遇措置を与える制度を導入しました。それが青色申告制度です。
所得税では青色申告をすることができる人は不動産所得、事業所得、山林所得のある
人に限られます。給与所得しかないサラリーマンが青色申告することはできません。
不動産所得または事業所得のある青色事業者が、取引の記録を複式簿記により記帳し、その記帳に基づいて作成した貸借対照表及び損益計算書を確定申告書に添付して法定期限内に提出した場合には最高65万円を控除することができます。複式簿記によらない場合、複式簿記でも期限後申告である場合には控除額が10万円になります。
青色申告する人と生計を一にしている配偶者や親族のうち、15歳以上でその青色事業者の事業に専ら従事している人に支払った給与は、事前に提出された金額の範囲内で経費に算入することができます。ただし、その給与を受けた人は控除対象配偶者や扶養家族にはなれません。
事業所得を営む青色事業者で、売掛金又は貸付金などの債権の貸倒れによる損失の見込額として、期末残高の一定以下の割合を貸倒引当金勘定へ繰り入れたときは、その金額を必要経費として認められます。
事業所得が赤字である場合で、他の所得と相殺してもなお赤字であるときは、赤字を3年間にわたって繰越して翌年以降の黒字と相殺することができます。また、赤字の繰越しに代えて、その赤字の発生した前年に繰戻して前年分の所得税の還付を受けることもできます。
法人税では一般的な会社でしたらほとんどの法人で青色申告することができます。
所得が赤字で欠損金が発生した場合に、その欠損金を最大9年繰り越すことができます。ただし、条件として欠損金が発生した事業年度に青色申告書を提出し、その後の各事業年度について連続して確定申告書を提出している法人です。欠損金が生じた事業年度において青色申告書を提出していれば、その後の事業年度について提出した申告書が白色申告書であってもこの優遇措置は適用できます。繰越した欠損金の控除には中小法人等以外の法人には制限がありますが、ここでは説明を省略致します。
30万円未満の償却資産を一事業年度で一括経費に計上できたり、雇用者の給与支給額を増加させた場合に税額控除を受けられたりと、スペースの都合上列挙できませんが法人税の優遇措置の大半は青色申告法人であることが前提になっています。
デメリットについて触れておりませんが、デメリットは帳簿の管理の手間暇ぐらいです。
面倒が嫌いな方には大きなデメリットですが、それ以外の方には大したデメリットにはならないでしょう。デメリットが少ない割にはメリットが大きいので白色申告の方、特に個人事業者でまだ白色申告でしたら青色申告を検討されてはいかがでしょうか。
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