日本の会社の99.7%は中小企業です。そのうち小規模企業は85.1%です。
(数字は、経済産業HP 26年版中小企業白書概要より
http://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H29/PDF/h29_pdf_mokujityuuGaiyou.pdf)
小規模事業者とは、卸売業、小売業、サービス業では、従業員が5人以下、製造業その他の業種では従業員が20人以下の会社です。
株式会社の株主は出資金に対する部分のみの債務を負う有限責任です。
株式会社は、経営と資本は分離されており、法人は、法律により独立した人格を持っています。
個人事業主は事業の債務の全てに無限に責任があります。
法人の中には節税、対外的な信用から法人成りし、実質は個人事業主とかわらない従業員なし、代表取締役1人という会社もあります。
法人として登記をしていても法人格の否認という規定があり、法人=個人とされる事があります。
法人=個人とされれば、当然無限責任になります。
せっかく登記等費用や時間をかけて法人を設立したのに法人格を否認されては困ります。
過去に最高裁で法人格が否認された事例として、以下の出来事がありました。
大家さんが、店舗を貸している電気屋さんともめたときのことです。
大家さんは店舗を経営しているAさんを相手に訴訟を起こし、一旦は明け渡しをするとの和解が成立したものの、賃貸借契約が、大家さんとAさんが経営する株式会社B(法人格)との間で交わされたものだったので、Bは和解に応じていない、とAさんが主張したのです。
本来、個人Aと法人Bの人格は別の物ですが、このとき最高裁は、法人Bを実質的にはAさんの個人企業として、法人格を否認し、和解は成立しており、引き続き明け渡しの義務があるとしたのです。
以下、判決内容を引用して記載いたします。
第1審判決(東京地判昭和43・1・19)
被告は、原告に対し、昭和43年1月31日に限り別紙物件目録記載の建物部分から退去してこれを明け渡し、かつ、昭和42年4月1日以降右明渡済に至るまで1か月金1万円の割合による金員の支払をせよ。(略)
控訴審判決(東京高判昭和43・6・3) 本件控訴を棄却する。
上告審判決(最高裁 昭和44・2・27) 本件上告を棄却する。
地方裁判所、高等裁判所及び最高裁判所においてAの主張は認めず。
最高裁判所においては、会社名義の取引でも、相手方は会社という法人格を否認してあたかも法人格のないと同様、個人の行為であると認め、また、個人名義でされた行為であっても、相手方はその行為を会社の行為であると認める。
(詳細は裁判所HP http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=55117)
法人格を否認されないためには、債権者が不利になる行為や会社であることのメリットを利用した租税回避に当たる行為をしないことです。
旧会社=新会社であると、法人格を否認される場合もあります。会社を倒産させた上で休眠会社を利用して事業を継続させる行為などです。倒産により債務を免れ、債権者の権利が害されるからです。
法人格が否認されると、個人が責任を負います。法人の行為が無効となります。
誰それが言っていた「税金が安くなる方法」と言うのを闇雲に信じない事が大事だと思います。
本当に法律に従った節税なのか、それとも法律を過大にまたは過小に解釈した租税回避なのか。その判断は、最終的には最高裁判所が行います。
法律家でさえも判断が難しい問題を自分で判断してしまうのは、非常に危険です。
後からたくさんの税金が課せられるという事が生じかねません。
自分で判断した後に相談をしても何も出来ない事があります。
税理士法人フォーエイトでは、弁護士、司法書士など法律の専門家や不動産鑑定士など各分野の専門家と連携し、適切なアドバイスをさせていただきます。
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