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中小企業者等における少額減価償却資産の取得価額について損金算入の特例改正

少額減価償却資産の取得価額ついて損金算入の特例

「30万円未満の備品は一括で経費にできる」という話をご存知の方が多いかもしれません。
取得価額30万円未満の資産は少額減価償却資産といい、特例として一括で経費にすることが認められていました。
平成18年4月から続いたこの特例制度は、平成30年度税制改正により、2020年3月31日までとなります。
この減価償却資産の特例制度についてまとめましたので、資産購入の際はご一考ください。
 

購入金額を一括で経費にできない減価償却資産

代金は払っているのになぜ払った分を一度に経費にできないのでしょうか。
事業で使われる建物、機械装置、器具備品、車両などの資産は、一般的には時の経過等によってその価値が減っていきます。
このような資産を減価償却資産といい、資産の使用可能期間(耐用年数という資産の内容・用途によって法律で定められた期間があります)の全期間にわたり、分割して必要経費としていくべきものとされています。
そのため一括で経費にはできないのです。
原則として取得価額が10万円以上のものは、減価償却資産として使用可能期間で分割して経費にしなくてはなりません。
 

少額減価償却資産の特例とは

正式には「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」といいます。
中小企業者等が、取得価額30万円未満の減価償却資産を平成30年3月31日までに購入して事業のために使用した場合は、一定要件のもと、その取得価額に相当する金額を一括で経費とすることができるという特例制度です。
 

適用対象となる中小事業者

この特例の対象となるのは、青色申告である中小企業者に限られます。
中小企業の範囲については、以下のようになっています。
 

法人

①資本金が1億円以下の法人
(ただし、大規模法人の子会社・常時使用する従業員が1千人超の法人を除く)
②資本金を有しない法人のうち、常時使用する従業員の数が1千人以下の法人
 

個人

常時使用する従業員の数が1千人以下の個人
 

その他

農業協同組合など
 

パソコンなど適用対象資産と限度額

この特例の対象となる資産は、取得価額が30万円未満の減価償却資産です。
ただし、事業年度における少額減価償却資産の取得価額の合計額が300万円を超えるときは、その取得価額の合計額で300万円に達するまでの取得価額の合計額が限度となります。
※事業年度が1年に満たない場合の限度額は300万円を12で除し、これにその事業年度の月数を掛けた金額です。
 

少額減価償却資産の会計処理方法や仕訳など

少額減価償却資産の取得価額の判定は、消費税の会計処理方法(税込み経理方式か税抜き経理方式)によって異なりますので注意が必要です。
(例)税込み価格30万2400円(税抜き価格28万円)のパソコンを購入した場合
・税込み経理方式→取得価額30万2400円として判定
・税抜き経理方式→取得価額28万円として判定
※消費税率は8%とする
 

適用期限は2018年(平成30年)までから期限延長

平成18年4月1日から平成30年3月31日まででしたが、平成30年度税制改正により2020年3月31日までに延長されました。
 

適用手続きとして申請が必要

適用を受けるためには下記の手続きが必要です。
① 事業に使用した事業年度において、少額減価償却資産の取得価額に相当する金額につき損金経理すること。
② 確定申告書等に少額減価償却資産の取得価額に関する明細書を添付して申告すること。
 

適用の注意点

① 租税特別措置法上の特別償却、税額控除、圧縮記帳との重複適用はできません。
② 取得価額が10万円未満のもの、又は一括償却資産の損金算入制度(20万円未満)の適用を受けるものについてもこの特例適用はありません。
③ この特例は、取得価額が30万円未満である減価償却資産について適用がありますので、器具及び備品、機械・装置等の有形減価償却資産のほか、ソフトウェア、特許権、商標権等の無形減価償却資産も対象となり、また、所有権移転外リース取引に係る賃借人が取得したとされる資産や、中古資産であっても対象となります
 

個人事業主の適用は確認

減価償却資産は、最終的にはその取得価額を全額経費にできますが、当期に一括で経費になるかならないかで当期の税額は大きく変わります。
この減価償却資産の特例について、平成30年度税制改正で、2020年3月31日まで延長されることになりました。
詳しくは、コラム「少額減価償却資産の特例」をご覧ください。
個人事業主の方などで適用をお考えの方は、お早めに税理士にご相談ください。
 

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