経済活動のグローバル化が進み、現在では事業者の大規模・小規模に関わらず、国際的な取引が活発になりました。日本国外で勤務する方、出張する方、国外から出張で来日する方など、働き方は様々で、企業に所属している方はお給料をもらい生活しています。国外で事業を行っていたり、不動産を持っていたりという方もいらっしゃいます。発生した給与所得、事業所得、不動産所得などについては、所得税が課されることが一般的ですが、今回は国内外で所得がある場合の所得税の取り扱いについてご説明いたします。
個人が所得税法上、納税義務者に該当するかどうかは、「居住者」に該当するか、「非居住者」に該当するかで異なります。
「居住者【※1】」は、さらに「非永住者【※2】」と「非永住者以外の居住者」に分かれます。
「非永住者」は、「国内源泉所得(国内で業務やサービスを行ったり、国内にある土地や建物をはじめとする不動産を売ったり貸したりすることでお金を得ること)」と、これ以外の「国外源泉所得(国外の預金等の利子や、国外にある不動産の貸付・譲渡による収益、国外の法人等に対する出資に係る収益などが該当します)」に関しては、国内において支払われた所得の場合、または、国外から送金された所得の場合には、所得税が課税されます。
「非永住者以外の居住者」は、国内、国外問わず、発生した全部の所得について所得税が課されます。
「居住者」に対し、「非居住者【※3】」は、国内源泉所得に対してのみ、所得税が課されます。
以下、ここまでの用語についてご説明いたします。
居住者【※1】・・・国内に生活の拠点といえる「住所」がある方、国内に住所といえる場所はなくとも、一年以上引き続き寝泊りをしている「居所」がある方をいいます。
非永住者【※2】・・・以下の、AとBの両方に該当する方をいいます。
A:日本の国籍を持っていないこと
B:過去10年のなかで、国内に「住所」または「居所」があった期間が5年以下であること
非居住者【※3】・・・国内に住所、一年以上引き続き寝泊りをしている居所、両方ない方をいいます。
国内から国外に住むこととなったときは、その方が以下のどちらかに該当すれば、非居住者となります。
① 国外において、継続して一年以上居住しなければならない職業を有すること。
② 以下の、AとBの両方に該当すること。
A:外国の国籍を持っていること、又は、外国の法律等でその外国に永住する許可を受けていること。
B:国内において、その方に養われている親族など、「生計を一」とする方がいないこと、その他、その方の職業や、不動産をはじめとする資産の所有の有無等から、国内に戻り、再び国内に居住しないと推測されること。
なお、非居住者が、自身が居住者となっていない外国において所得を得た場合でも、その外国での課税が免除されるケースがあり、その要件となる滞在日数から「183日ルール」と呼ばれています。
要件には、以下の3つの判断基準があります。
① 滞在日数による判断・・・滞在日数が183日を超えないこと。
② 支払者による判断・・・支払者が、滞在している国の居住者でないこと。
③ 負担者による判断・・・実質的に判断して、負担者が、滞在している国の居住者でないこと。
ただし、①については、どの国で勤務等をして所得を得ているかにより、その国と締結している「租税条約」という法律が異なりますので、数え方が変わってきます。
例えば、「OECD(経済協力開発機構)条約」をもとにしている国の場合は、一般的に入国から出国まで連続して183日滞在しているか数え、「国連条約」をもとにしている国の場合は、暦年(1月1日から12月31日まで)の間で183日滞在しているかを数えることが多いので、免税手続きを受ける場合は、相手国の租税条約と数え方の慎重な確認が必要となります。
■事業者の無料相談ダイヤル 0120-485-485
■メール:無料相談はコチラ