2017年6月のとある金曜日にタクシーに乗った際、ボーナス支給日と金曜日が重なったので、夜はいつもより忙しくなりそう、と運転手の方に伺いました。
6月、7月は夏季賞与が多い月間になりますので、今回は、賞与に関する税務上の取り扱いをご説明させていただきます。
毎月支給される給与と同様に、賞与からも源泉所得税と社会保険料が天引きされます。
この天引される源泉所得税の計算は、毎月支給の給与とは異なります。
源泉所得税の納期の特例についても確認しておきましょう。
毎月支給の給与の場合は、「給与所得の源泉徴収税額表」に従い、当月の社会保険料控除後の給与等の金額に応じ、1,000円〜3,000円ほどの間隔で源泉徴収額が変わることが多くなっています。
賞与に関しては「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」に従い、「前月の」社会保険料控除後の給与等の金額に応じ、10,000円〜40,000円ほどの間隔で指定された率を、賞与の金額にかけて計算します。
税率は扶養親族0名であれば、前月の上記給与等が68,000円以上から、2.042%を最も低い率として2.042%〜4.084%の間隔で、4.084%→6.126%→8.168%・・・と45.945%まで上がり続けます。
年末調整の際、源泉所得税の調整額が大きくなる方については、こちらの賞与の率が年間の給与所得に応じた率と大きく異なることに影響を受けている場合が多いです。
年間の所得税(復興特別所得税を含む)の税率は、5.105%→10.210%→20.420%→23.483%→33.693%・・・と、45.945%まで上がります。
源泉所得税と同様に天引きされる社会保険料につきましても、取り扱いが異なります。
毎月支給の給与は「標準報酬月額」に保険料率を乗じるのに対し、賞与は「標準賞与額」に保険料率を乗じます。
労使折半で社会保険料を負担するため、雇用保険料の計算に関しましては、取り扱いは同じです。
6月は夏季賞与シーズンですが、原則的には「標準報酬月額」の計算に際し作成する算定基礎届の4月・5月・6月分の報酬から、賞与は除外されます。
ただし、賞与の支給回数が年4回以上の場合には、除外されず報酬として計算する必要があります。
この場合、7月1日前の1年間に支払う賞与額を12か月で割った金額を、報酬額に含めることとなります。
ここからは法人税に関してご説明します。
従業員に対して支給する賞与は、法人税法上も損金と認められて、税金がかかるもうけを減らすことになり、節税対策としても使えるものです。
しかし、役員に対して支給する賞与は一定の条件を満たさない限り、支払いがあっても損金として認められません。
一定の条件を満たす賞与を「事前確定届出給与」といいます。
これは前の期の決算の確定日から1か月以内に、役員に対する賞与の支給額と支給日を所轄税務署に届け出、届け出た支給額とぴったりの金額を、届け出た日ぴったりに支給することで損金として認められる規定です。
また、従業員に対して支給する賞与に関しては、原則的には、支給日の属する事業年度の損金に算入します。
役員報酬の損金算入については、こちらのコラム「 役員報酬を経費に、損金算入について」をご確認ください。
決算日時点で未払いのものがあっても、以下の要件を全部満たせば損金として認められます。
① その支給額を各人別に、かつ同時期に支給を受けるすべての使用人に対して通知している。(支給日に在職する使用人のみに賞与を支給することとしている場合のその支給額の通知は、該当しません。決算日時点で未払の債務が確定していなければならないため、決算日までの通知が必要です。)
② ①で通知した金額を、通知した全ての使用人に対しその事業年度終了の日の翌日から1か月以内に支払う。
③ その支給額につき通知をした日の属する事業年度において損金経理している。
例外的に損金算入が認められる賞与については条件があり、届出や支払などの事実を証明できない限り損金に計上できませんので、行う際はご注意ください。
給与所得や賞与は源泉所得税などを引かれて、銀行口座に振り込まれることも多く、意識していない方も多いかと思います。
ボーナスとも称される賞与は、給与と同じく源泉所得税がかかり、社会保険料も引かれるものです。
賞与によっては、損金算入として節税できるものもありますので確認しておきましょう。
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